【3月31日 AFP】捨てられたポリ袋を拾い集めて洗う人々。こうした光景はあまり見栄えのいいものではなく、環境保護団体も眉をしかめるかもしれない。ところが「プラスチックゴミのリサイクル」は、
コートジボワールで実入りのいい一大産業になりつつある。

 2002年のクーデターを機に貧困、物価高騰、格差の広がりにあえぐこの国では、プラスチックの製造に使用されるポリスチレンの供給が激減し、プラスチックの生産費用がはね上がった。かくして、数千人もの「manan-ferela(「袋洗い人」の意)」たちが、あちこちで散乱する袋やパッケージなどのプラスチックゴミを集めるようになった。これらをきれいに洗って再資源化業者に売り、お金を得ようというのだ。

 人口400万人、毎日発生するゴミの量が3000トンに達するアビジャン(Abidjan)では近年、使用済みポリ袋を洗う人の姿があちこちで見られるようになった。市当局によると、1日に洗われるポリ袋は市内だけで総量2トンにのぼるという。プラスチックゴミは、郊外のゴミ捨て場のほか、2006年に死者15人を出した外国船籍による有毒ゴミ不法投棄場からも集められてくる。

■汚染よりも「日銭」が重要

 国際社会では非生分解性のポリ袋を使用しなくなる傾向にあるが、この国では至る所で環境汚染物質が販売・使用され、捨てられている。国の45%を占める貧困層にとって、こうしたゴミは金のなる木となる一方で、健康面に悪影響を及ぼす。

 工場の排水路に「manan-ferela」たちが群がり、1日中ポリ袋を洗っている。少女たちの姿もあるが、汚染物質から身を守るための装備はしていない。16歳のある少女は、「病気へのリスクはあるけれど、家族を養うために働いている」と語る。

 ゴミ袋は乾燥させたあとでボール状に圧縮され、はかり売りされる。1日の稼ぎは約2.2ユーロ(約350円)。買い手は、主にレバノン人が所有する工場だ。これらはその後、粉状に粉砕され、台所用品などに再利用される。「需要は高い」とある工場主は語る。

 「manan-ferela」の中から、ポリ袋の洗浄から粉砕までを請け負うベンチャー企業を立ち上げようという者も現れた。そのうちの1人、Oumar Yeoさんは、工場を作ることで、化学物質に無防備な現在の作業環境を改善できると語っている。(c)AFP/Christophe Koffi