【9月26日 AFP】人気英ポップ・バンド「ブラー(Blur)」やバーチャル・バンド「ゴリラズ(Gorillaz)」での活動で知られるミュージシャン、デーモン・アルバーン(Damon Albarn)が音楽を担当したオペラ版「西遊記」の初の海外公演が、26日からパリ(Paris)で上演される。同作品についてアルバーンが語った。

■古代中国音楽とサーカスをミックスした独創的舞台

 『Monkey, Journey to the West』と題されたこの舞台作品は、古代中国の民族音楽とサーカスのパフォーマンスの要素をミックスさせた一種のオペラだという。

 ストーリーは16世紀の中国で書かれた歴史物語「西遊記」に基づいたもので、アルバーンは、この作品の音楽を担当している。キャラクターのビジュアルデザインは、「ゴリラズ」でもアルバーンと組んでいたジェイミー・ヒューレット(Jamie Hewlett)。プロダクションは著名な中国人オペラ監督チェン・シゼン(Chen ShiZheng)氏が手がけた。

 6月に英国北部で開かれたマンチェスター国際フェスティバル(Manchester’s International Festival)で初演されたこの作品は、パリで26日から18日間にわたり上演され、2008年7月にはドイツ・ベルリン(Berlin)でも上演の予定だ。

 アルバーンは、自身が考案したといえる、この独創的な作品をどう説明するにあたり、何と言ってよいか分からず困っているようだった。「これはおそらく、世界中のオペラ界でも類を見ない初めてのものだ。とにかく誰が見ても面白いんだ。オペラだと思ってみるとガッカリするかも。でもミュージカルだというのも的外れだ。ショーの一種だと考えてもらえれば間違いないだろうね」

 作品中では、アクロバットや体操、格闘技、手品の達人らが、アルバーンの音楽に合わせパフォーマンスを披露する。音楽は西洋と中国の楽器およびシンセサイザーを使って演奏される。

 アルバーンは作品制作のために共同制作者らと中国まで旅もしたという。作品中の曲には、可能な限り中国の伝統的民族音楽の5音音階が使用されている。

■常に進化し続ける多彩なミュージシャン、アルバーン

 「この作品のための作曲で多くを学んだが、オペラの作曲家としての技術はまだまだ。ベルディが作ったアリアの足元にも及ばない」と謙遜しつつも、アルバーンはポップミュージック界随一の多才なミュージシャンだ。絶えず自身や音楽について新境地を切り開いている。

 「ブラー」のフロントマンとして世界的な成功を収めた後、別プロジェクトのバンド、「ゴリラズ」や「ザ・グッド・ザ・バッド・アンド・ザ・クイーン(The Good The Bad and the Queen)」を作り上げ大人気を博した。「ゴリラズ」は、ヒューレットが描いたアニメキャラクターによる架空カートゥーン・バンド。 アルバーンはそのほかにも、レコードレーベルの設立し、2002年には西アフリカ諸国のアーティストらの曲を集めたアルバム「Mali Music」をリリースしている。

 常に自身を進化させ続けるアルバーンは、昔ヒットした曲を長年演奏し続けるようなバンドを批判する。「10代の頃に作った曲をずっと演奏し続ける人が大勢いる。どうして、そんなことができるんだろう?理解できないよ。人生で得たものを音楽にして表現すべきだろう。成長することは大切なことだよ」。(c)AFP

デーモン・アルバーンの公式ページ


ザ・グッド・ザ・バッド・アンド・ザ・クイーンの公式ページ(ECMより)