【ハノイ/ベトナム 21日 AFP】米ソフトウェア大手マイクロソフト(Microsoft)とベトナム郵政通信省は21日、ベトナムの政府機関内で使用するマイクロソフト製品について、同社のライセンス許諾製品のみの使用を徹底する協定を結んだ。ベトナムで横行するソフトの違法コピー抑制に対する取り組みの一環。

 ハノイを日帰りで訪れたマイクロソフトのスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)最高経営責任者(CEO)はベトナムのグエン・タン・ズン(Nguyen Tan Dung)首相と会談し、郵政通信省で行われたマイクロソフト・オフィス(Microsoft Office)の契約調印式に共に出席した。

 マイクロソフトとベトナム政府は共同声明で、「今回の調印は、知的財産権保護分野の規則の遵守を同省に義務化し、成長著しい情報通信技術(ICT)分野の成長を促進するものだ」と発表した。

 ヴ・ダク・ダム(Vu Duc Dam)副郵政通信相は、「ベトナムの人口は8400万人でその60%が30歳未満と若く、識字率は96%と高い。我が国の経済成長率は現在すでにアジア第2位。ベトナムは情報通信技術(ICT)による奇跡を体験した国の仲間入りをしつつある」と述べた。

 調査会社インターナショナルデーターコーポレイション(International Data Corporation)の最近の調査によれば、ベトナムは海賊版ソフトウェアが世界で最も横行している国の1つ。

 知的財産権の保護を目的とした国際NPO、ビジネスソフトウェアアライアンス(Business Software Alliance Asia)のジェフリー・ハーディー(Jeffrey Hardee)副会長は、今回の協定は知的財産権保護に真剣に取り組み始めたベトナム政府の姿勢の変化だと評価する。

 ハーディー氏は「今回、ベトナム政府がライセンス協定を結んだことが影響し、ベトナム全体の違法コピー率が大幅に減ることを期待する。知的財産権について政府の意識が高まり、取り締まりが強化されることで、来年の違法コピー率は我々がこの地域の監視を開始して以来、単年で最大の減少幅を記録するかもしれない」と述べた。

 写真は21日、ハノイ(Hanoi)で開かれた調印式で握手するマイクロソフトのバルマーCEO(右)とベトナムのズン首相。 (c)AFP/HOANG DINH Nam