「欧州最大のアダルトショップ」 生き残りを掛けた大作戦は - ドイツ
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【フレンスブルグ/ドイツ 13日 AFP】欧州最大のアダルトショップチェーン、Beate Uhseが、新たな顧客の開拓を目指し、人目を忍ぶ裏通りから表通りの高級街に進出するという。同社は手始めに2007年1月、ミュンヘン(Munich)中心部にブティック風の新店舗をオープンした。
戦略転換について、同チェーン役員のOtto Christian Lindemann氏は「従来のアダルトショップのままでは生き残れない」と説明する。
■インターネットの普及で、売り上げが激減したアダルト映像
主力商品のアダルトビデオやアダルト映画上映の売上げでは、経営が苦しいのが現状だ。現在は、インターネットで無料で好きな時にアダルト映像をダウンロードできる。その結果、Beate UhseのDVD売上は激減した。
Beate Uhseのフランスの特約店、ConcordeのRichard Fhal店長は、「90年代にはビデオ1本が40ユーロ(約6500円)だったのが、今ではたったの10ユーロ(約1600円)でDVDが手に入るんだから」とあきらめ顔だ。
■06W杯を当て込んだ戦略は大失敗
Beate Uhseの最近の財務状況は、アダルト市場の変化が引き起こした苦境が読み取れる。店頭販売、通信販売、ネット販売の全てに苦戦を強いられている上、他にも問題を抱えているという。
注文品の配達遅れの苦情への対処に追われるのはまだしも、2006年にドイツで開催されたサッカーW杯の盛り上がりを当て込んだ商品が物議の的となったのだ。
W杯をビジネス・チャンスにつなげようとした同社。ドイツ代表チームのオリバー・カーン(Oliver Kahn)選手とミヒャエル・バラック(Michael Ballack)選手にちなんで、「オリーK」、「ミヒャエルB」と名付けた「大人のおもちゃ」を販売してしまったのだ。ところがこの商品、訴訟に発展しかねない騒動を巻き起こしてしまった。
加えて、オランダの配送センターの在庫が年末の洪水で全滅。クリスマス商戦での決定的ダメージを受けた結果、2006年の純利益は3割減。1000万ユーロ(約16億円)となったという。
■起死回生の戦略は、「高級志向」「女性用」
しかし、第二次世界大戦時、勇敢なパイロットだった設立者、Beate Uhseの名を冠した同社はまだあきらめてはいない。財政の立て直しには、新たな戦略が必須だ。
Institute for Independent Researchのアナリスト、Stefan Rohle氏の分析によると、幸運なことにBeate Uhseには同業他社にはない「奥の手」があるという。
「Beate Uhseの名前は、ドイツ、オーストリア、スイス全域で『有名アダルトショップ』としてのブランドイメージが確立している。市場競争において、これは強力な財産だ」というのだ。
一方、Lindemann氏も「特効薬」を考えた。主力商品を、現在のハードポルノ雑誌や男性用の大人のおもちゃから、女性を対象にしたおしゃれな「大人のおもちゃ」や「セクシー下着」に転換するのだという。
ミュンヘンにオープンした新店舗は、新戦略への反響を探るアンテナショップの役割を果たす。
「エロチシズムは我々の日常生活の一部」というLindemann氏は、「新店舗は、従来とは異なる客層から、週末のショッピングのついでに立ち寄れるような店にした。アダルトビデオの製作はこれからも続けていくが、幅広い観客に観てもらえるものにしたい」と抱負を語った。
しかし、もう失敗することはできない。同社の筆頭株主で設立者、Beate Uhse氏の後継者である息子のUlrich Rotermund氏が、持ち分の同社株28%を売却する見込みのようだ。グループ解体の噂も流れるが、Lindemann氏はこれを否定している。
セックス産業が再び活況を迎えれば、Beate Uhseの将来も明るいのだが。
写真はベルリンにあるBeate Uhseの店舗前を行く男性。(2007年3月30日撮影)(c)AFP/JOHN MACDOUGALL
戦略転換について、同チェーン役員のOtto Christian Lindemann氏は「従来のアダルトショップのままでは生き残れない」と説明する。
■インターネットの普及で、売り上げが激減したアダルト映像
主力商品のアダルトビデオやアダルト映画上映の売上げでは、経営が苦しいのが現状だ。現在は、インターネットで無料で好きな時にアダルト映像をダウンロードできる。その結果、Beate UhseのDVD売上は激減した。
Beate Uhseのフランスの特約店、ConcordeのRichard Fhal店長は、「90年代にはビデオ1本が40ユーロ(約6500円)だったのが、今ではたったの10ユーロ(約1600円)でDVDが手に入るんだから」とあきらめ顔だ。
■06W杯を当て込んだ戦略は大失敗
Beate Uhseの最近の財務状況は、アダルト市場の変化が引き起こした苦境が読み取れる。店頭販売、通信販売、ネット販売の全てに苦戦を強いられている上、他にも問題を抱えているという。
注文品の配達遅れの苦情への対処に追われるのはまだしも、2006年にドイツで開催されたサッカーW杯の盛り上がりを当て込んだ商品が物議の的となったのだ。
W杯をビジネス・チャンスにつなげようとした同社。ドイツ代表チームのオリバー・カーン(Oliver Kahn)選手とミヒャエル・バラック(Michael Ballack)選手にちなんで、「オリーK」、「ミヒャエルB」と名付けた「大人のおもちゃ」を販売してしまったのだ。ところがこの商品、訴訟に発展しかねない騒動を巻き起こしてしまった。
加えて、オランダの配送センターの在庫が年末の洪水で全滅。クリスマス商戦での決定的ダメージを受けた結果、2006年の純利益は3割減。1000万ユーロ(約16億円)となったという。
■起死回生の戦略は、「高級志向」「女性用」
しかし、第二次世界大戦時、勇敢なパイロットだった設立者、Beate Uhseの名を冠した同社はまだあきらめてはいない。財政の立て直しには、新たな戦略が必須だ。
Institute for Independent Researchのアナリスト、Stefan Rohle氏の分析によると、幸運なことにBeate Uhseには同業他社にはない「奥の手」があるという。
「Beate Uhseの名前は、ドイツ、オーストリア、スイス全域で『有名アダルトショップ』としてのブランドイメージが確立している。市場競争において、これは強力な財産だ」というのだ。
一方、Lindemann氏も「特効薬」を考えた。主力商品を、現在のハードポルノ雑誌や男性用の大人のおもちゃから、女性を対象にしたおしゃれな「大人のおもちゃ」や「セクシー下着」に転換するのだという。
ミュンヘンにオープンした新店舗は、新戦略への反響を探るアンテナショップの役割を果たす。
「エロチシズムは我々の日常生活の一部」というLindemann氏は、「新店舗は、従来とは異なる客層から、週末のショッピングのついでに立ち寄れるような店にした。アダルトビデオの製作はこれからも続けていくが、幅広い観客に観てもらえるものにしたい」と抱負を語った。
しかし、もう失敗することはできない。同社の筆頭株主で設立者、Beate Uhse氏の後継者である息子のUlrich Rotermund氏が、持ち分の同社株28%を売却する見込みのようだ。グループ解体の噂も流れるが、Lindemann氏はこれを否定している。
セックス産業が再び活況を迎えれば、Beate Uhseの将来も明るいのだが。
写真はベルリンにあるBeate Uhseの店舗前を行く男性。(2007年3月30日撮影)(c)AFP/JOHN MACDOUGALL