【ギゾ/ソロモン諸島 3日 AFP】2日朝にマグニチュード8.0の地震と津波に襲われたソロモン諸島で、必死の救援活動が難航している。

 当局は少なくとも24人が犠牲となり、5400人が家を失ったとしているが、そのほかにも多くの行方不明者がいることから、死者数は今後も増えるだろうと予測している。

■震源から45キロのギゾ島、住民の1割が家を失う

 西部のギゾ島(Gizo)では、余震が続くなか、政府の災害委員会が津波警報をすでに解除し、住民に帰宅を促している。

 ダイビングスポットとして知られるギゾ島は、今回の地震の震源地から約45キロの地点に位置する。余震におびえる数千人の住民は、海を臨む丘で避難生活を強いられている。同地では住宅の大半は高床式で、多くは地震により全壊または半壊。低地に位置した数百の家屋や庁舎、会社社屋などは、津波により流された。

 赤十字によれば、ギゾ島では、住民の約1割にあたる2000人が家を失ったという。

■オーストラリアが緊急支援開始、活動は難航

 大規模災害の発生を受け、オーストラリア政府は200万豪ドル(約1億9320万円)規模の緊急支援を発表。その一環として、まずは医療チーム、飲料水、食料、テントなどを送り込むとしている。ほかにも、各国が食糧や医療品などの緊急支援物資の提供を開始している。

 しかしながら、特に町の中心部から離れた地域では、通信網が発達していないことなどから支援の手が届きにくい。地元職員らは、遠隔地域の被災者への支援提供には数日かかる可能性もあるとしている。 

 実際、3日午後の時点でギゾ島に届いた支援物資は、警察のパトロールボートに乗せられた医療品だけである。病院でボランティア活動にあたる人々も、物資が不足しており、一部の被災者に対し屋外での治療を余儀なくされていると不満を述べる。

 ソロモン捜索救助隊のジャック・バナ(Jack Bana)隊長は、すべての被災者が最低でもテントなどの避難所と、食糧、医療品などを確保できるまでに、あと2日はかかるだろうとみる。

 オーストラリア東方約2600キロに位置するソロモン諸島は、数十の島々に約50万人の住民が暮らす。それ以外にも、数百の無人島が点在する。

■礼拝中の信者も犠牲に、パプアニューギニアでも被害か

 24人の犠牲者のうち、ニュージーランド人の男性は母親を助けようとして命を落とした。また、ギゾ島に近いシンボ島(Simbo)の教会では、津波により司祭1人と礼拝中の住民3人が犠牲となった。

 現在ソロモン諸島には、現地警官隊に加え、オーストラリア主導の平和維持部隊が被害規模を明らかにするため作業にあたっている。だが3日現在、詳細はあまり明らかになっていない。海上調査では、遺体が発見されたなどの報告はないようだ。

 一方、震源地から200キロ以上離れたパプアニューギニアの南東部では、5人家族が津波により行方不明になっているとの報告があり、当局が確認中という。

 写真は2日、ボートにふさがれたギゾ島の主要道路。(c)AFP/Justin ANDERSON