【モガディシオ/ソマリア 21日 AFP】ソマリアの首都モガディシオ(Mogadishu)南部で21日、ソマリア暫定政府を支援するエチオピア軍を、1月に制圧された反政府勢力「イスラム法廷会議(Union of Islamic Courts、UIC)」の一部とみられる覆面の集団が襲撃、兵士6人を含む少なくとも14人が死亡した。ソマリア軍とアフリカ連合(AU)平和維持部隊は前日、首都の配備を強化したばかりだった。

 AU平和維持部隊はソマリア暫定政権の支援と、エチオピア軍の撤退を実現するため、総勢8000人規模で展開されている。しかし広報担当官によると、同部隊は21日の戦闘に関与しなかった。AU軍に参加するウガンダ軍1500人の司令官Paddy Ankunda大尉は、「これまでのところ、我々は反撃していない。平和維持活動の作戦全体をまだ準備している段階だ」と述べた。

 衝突発生により、モガディシオの大統領官邸近くに駐留していたエチオピア軍数百人は撤退し、ソマリア軍とAU平和維持部隊が周辺の統制を引き継いだ。大統領官邸は頻繁に反政府勢力の標的となっている。
 
 襲撃を目撃した住民は制服を着た兵士3人の殺害の様子を証言し、「2人の遺体は火をつけられ、もう1人の遺体は街中を引き回された」と述べた。
「砲弾が兵舎を襲い、3人が殺された。遺体を目撃した。ひとりは私の親戚だった」
 最新の報告では死者は14人となっている。

 首都での衝突が激化する中、エチオピア軍のYamene Gabremickael司令官は、「(ソマリア)暫定政府軍はAU軍の支援を受け、現在、事態に対処できている状態だ。ソマリアには徐々に平和がもたらされているが、一夜で実現するものではない」と述べた。

 首都を含むソマリア中南部の大半を掌握していた「イスラム法廷会議」が1月、ソマリア暫定政府とエチオピアの合同部隊によって制圧されて以降の戦闘による死者は数十人と紛争中に比べて激変しているが、イスラム法廷会議とその支援勢力は依然、ゲリラ戦を展開している。

 1991年に当時のモハメド・シアド・バーレ(Mohamed Siad Barre)大統領が追放されて以来、氏族間の対立から内戦状態が激化したソマリア紛争では、政府間開発機構(IGAD)のイニシアティブにより停戦合意を目指して、これまで14回の「ソマリア国民和解会議」が開催されたが、いまだ完全な停戦に至っていない。

 写真はモガディシオで20日、アフリカ連合(AU)軍司令部へ向かう同軍の戦車。(c)AFP/JOSE CENDON