【マナグア/ニカラグア 11日 AFP】サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)党首で反米左派のダニエル・オルテガ(Daniel Ortega)元大統領(61)が10日、約17年ぶりに大統領に就任した。これによりラテンアメリカに、また一つ左派系政権が誕生した。

■オルテガ新大統領を支持する各国首脳が出席

 オルテガ新大統領は首都マナグア(Managua)で行われた就任式典で、14人の各国首脳と30万人のニカラグア国民が見守る中、大統領の帯を受け取った。現在では平和と融和を訴える、かつてのマルクス主義革命家が政権に返り咲いたことで、人口5400万人、うち7割もの貧困層を抱えるニカラグアに、再び国際社会の注目が集まっている。

 就任式には盟友、ベネズエラのウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領をはじめ、スペインのフェリペ皇太子(Crown Prince Felipe)、メキシコのフェリペ・カルデロン(Felipe Calderon)大統領、台湾の陳水扁(Chen Shui-bian)総統らが出席した。ニカラグアは台湾を国家として承認している24か国のひとつ。

 オルテガ大統領は1979年、サンディニスタ民族解放戦線を率いて、米軍の支援を受けていたアナスタシオ・ソモサ・ガルシア(Anastasio Somoza)政権を打倒した。1980年代には、ソ連の支援を受けたオルテガ政権は私有財産を没収して貧農に分配し、米軍の資金援助を受けた反政府武装勢力のコントラ(Contra)と内戦を繰り広げた。

 1990年の大統領選でオルテガ大統領は敗れ、コントラとの内戦が終結。オルテガ大統領はその後2度の敗北を経て、今回返り咲いた。

■米国は一転、両国関係を重視する意向を示す

 米国が支持するエドゥアルド・モンテアレグレ(Eduardo Montealegre)候補と争った選挙戦では、、駐ニカラグア大使をはじめとする米国政府側は、ニカラグア国民にオルテガ打倒を呼びかけていた。一方、選挙活動中、オルテガ氏の革命的な言論は鳴りをひそめた。

 だが米国側は先日、方針を一転。Gordon Johndroe報道官は、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領が8日、電話でオルテガ氏に祝辞を送り、連携を呼びかけたことを明らかにした。ブッシュ大統領はニカラグアの福祉向上に向けた取り組みや、貿易や経済開発などをはじめとする両国関係を重視する意向を示した。

 写真は10日、就任式典で手を振るオルテガ新大統領(左)とチャベス大統領。(c)AFP/Yuri CORTEZ